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2005/01/14

<鳳仙花>◆北朝鮮経済制裁戒める声◆

 日本で食するあさりの多くが北朝鮮産である。北朝鮮拉致被害者と家族の支援組織「救う会」は、この北産あさりの不買運動を呼びかけることを決めた。経済制裁で北朝鮮の対応を改めさせようというものだ。

 日本は年間202億円(2003年)相当を北朝鮮から輸入しているが、その22%、45億円はあさりである。輸入をストップすれば北経済は打撃を受けるが、輸入あさりの60%は北朝鮮産であり、日本の食生活への影響も大きい。
あさりは一例である。日本社会の中に北朝鮮経済制裁を否定できないムードがあり、国会議員の中にも強硬論がある。

 拉致家族らの心情は察してあまりある。だが、経済制裁をして問題が解決するならばいいが、その可能性は極めて低い。実際、北朝鮮の貿易依存度は日本よりも韓国、中国のほうが遙かに大きく、韓中がそろって経済制裁しなくては見るべき効果をあげることができない。その韓中はむしろ経済制裁を諫(いさ)める立場にある。

 毎日新聞の玉置和宏論説委員はコラム「酸ぱいも辛いも」で経済制裁の歴史的考察をし、次のように述べている。

 米国はキューバに対して40年以上も経済制裁をしているが、カナダやメキシコなど国際的支援の中でむしろ自立しつつある。3000年前にヘレン王妃をトロイの王子パリスに拉致されたギリシャは武力制裁に踏み切り、トロイは滅亡したが、ホメロスの叙事詩には双方の悲しい物語が残されているだけだ。制裁から勝ち組は生まれない。

 日本の議員や識者の中にも、「経済制裁の後がどうなるのかを考えなければならない」「国交正常化交渉を通じて問題を解決するしかない」と経済制裁を戒める声がある。この100年をひもといても歴史的に様々なことが未解決の北朝鮮である。冷静な対応が求められるのではないか(S)