在日韓国YMCA(キリスト教青年会)が、4月25日に創立100周年を迎える。これまでの100年は、在日社会と苦楽をともに歩んだ道のりだったといえる。
在日韓国YMCAが東京に結成されたのは日本植民地下の1906年。日本で先進技術や最新の知識を学び、祖国の近代化に貢献しようと、東京に渡る韓国人留学生が増えたことに始まる。
苦学生が多かった彼らの指導と世話をする、寄宿舎のような機関が必要とされ、学問、サークル、宗教活動の場を留学生に提供してきたのだ。
そのYMCAの名が知れ渡ったのは1919年2月8日。国際連盟が結成され、民族自決主義がウイルソン米国大統領によって提唱されるなど、民族独立への機運が高まる国際情勢の中、チェ・パルヨン、ユン・チャンソク、キム・ドヨンら留学生600人が集まって「二・八独立宣言」を発表した。
これが、韓半島全土を揺るがした三・一独立運動の引き金となったのである。現在、YMCA会館前には記念碑が建てられ、当時をしのぶことができる。
45年の太平洋戦争の終結で祖国解放後は、在日社会の変遷に合わせて活動を変化させてきた。在日韓国人向けの韓国語や民族文化の講座開設、子ども向けキャンプなどに取り組み、70年には在日同胞が多数居住する関西に、「関西韓国YMCA」を設立した。
人権問題にも力を入れ、70~80年代に就職差別撤廃、指紋押捺拒否闘争などが在日社会で広がると、その支援の役割も担ってきた。
そして、次なる100年を迎えるにあたり、多様化する在日社会に座標軸を提示し、次代を担う青少年育成に役立てようと、在日研究会を設立するという。
指導者育成フェローシップも計画しているとのことだが、広く英知を集めて取り組んでほしい。(L)