中日ドラゴンズと日本ハムファイターズが激突したプロ野球日本シリーズは、北海道での初開催と新庄剛志選手の引退試合ということで大いに盛り上がった。新庄とともに今シリーズで最も注目を集めたのが日ハムの森本稀哲(ヒチョリ)外野手(25)だ。名前から推察できるように、森本選手は在日韓国人3世。父親が韓国人、母親が日本人である。実家は東京・日暮里で「絵理花」という焼肉屋を営んでおり、日ハムファンでいつもにぎわっているという。
身体能力の高さを生かした守備とガッツあふれる走塁が森本選手の持ち味で、出塁すれば必ずホームに返ってくるというジンクスもある。打撃でも4割をマークし大活躍。打席に立つと、4万人を超す札幌ドームの観客から一斉に「ヒチョリ」コールが巻き起こる。ファンへのサービス精神は新庄にも劣らず、「劇団ヒチョリ」「ヒチョリ舞台」と呼ばれるほど、さまざまなパフォーマンスでファンを沸かせている。新庄のファンサービス「ゴレンジャー」の一員にも選ばれ、新庄の「後継者」といわれており、日ハムになくてはならない存在だ。野球ファンならずとも、あのスキンヘッドと愛嬌ある笑顔を目にすれば、忘れられなくなるだろう。
日本のスポーツ界は、在日抜きには語れない。プロレスの力道山、相撲の横綱三重ノ海などキラ星のごとくいろいろなスポーツに多くの在日の名選手が誕生しているが、特にプロ野球には、往年の大投手、金田正一氏や前人未到の3000本安打を達成した張本勲氏ら、枚挙に暇がない。現役の選手の中にも横浜の金城、阪神の金本、桧山ら数多くの在日が活躍している。
在日は、いまやマイナーな存在ではない。森本選手は、経済の低迷で落ち込む北海道に多くの勇気と希望を与え、日本人のファンに愛されている。彼の活躍は在日の励みにもなるだろう。ガンバレ、ヒチョリ。(G)