「約40年前の国交回復当時は年間1万人だった韓日間の人々の往来が、いまでは1日1万人以上に増えている」
ここ数年、韓日間の会合やパーティーのあいさつで多くの人が、両国間の人的交流の拡大をこのように述べていた。そして、近年は、東京だけでなく、地方都市にも多くの韓国人観光客が訪れているのである。
先日、札幌に取材で行った折も、北海道庁の関係者が次のように話していた。
「もう韓国様々ですよ。日韓間の政治的摩擦も何のその、韓国からの来道は実に50%のペースで増え続けていて、今年は10万人を超えそうです。6月からは札幌-釜山、函館-ソウル間にも航空便就航が実現し、韓国との距離はますます近づいています」
最近、韓日間の会合に足繁く参加する先輩は、「近くて近い韓国」をテーマにした講演で、「地方で国際空港を名乗っているのは韓国便が往来しているためなのです。九州をはじめ観光地は韓国・台湾の観光客でなりたっているといっても過言ではありません」と話した。
別府温泉のある大分県では、道路標識はすべて韓国語が併記されている。そういえば、東京の鉄道の標識にも数年前から英語以外に韓国語と中国語が書かれている。韓国と中華圏の人々が大勢日本を訪れているからにほかならない。
国土交通省は、「ビジット・ジャパン」と銘打って、1000万人を目標にした外国人観光客誘致キャンペーンを展開している。昨年は672万人の誘致実績をあげた。韓国人観光客がトップの172万人で、全体の26%を占めた。台湾人の127万人と合わせてほぼ300万人。これに中国、香港を加えると370万人となる。
改めて、韓国、中華圏との密接な関係を物語るものだ。「百聞は一見に如かず」であり、近隣諸国の日本理解にも大きく貢献するだろう。政治的摩擦を速やかに解消する努力を望みたい。(S)