神奈川県川崎市が先週18日から21日までの4日間、韓国の慶尚北道大邱市に経済交流促進ミッションを派遣。阿部孝夫市長自らが団長を務め、現地で「川崎・大邱経済交流記念シンポジウム」を行うなど活発に交流した。
折りしも、独島(日本名・竹島)周辺での日本の海洋調査をめぐる問題で、韓国の反日感情が高まっているときに、あえて日本からのミッションを受け入れた大邱市の英断に拍手を送りたい。そこには、「政治と経済は別」という冷静な判断があったのだと思う。
政治的に冷却状態が続く韓日関係だが、経済面では年間貿易規模が720億㌦を超え、日本の対韓貿易黒字額が244億㌦に達するなど、両国の結びつきは非常に強い。凋落したソニーがサムスン電子との合弁で液晶パネル事業に進出し、みごとに復活したことを例に挙げるまでもなく、いまや韓日は経済パートナーとして重要な相手国になっている。
川崎市は、かつて京浜工業地帯の中心地として栄えたが、産業構造の転換と大企業の生産拠点の海外移転などで産業基盤が衰退、岐路に立たされている。これを打開するため、阿部市長は川崎臨海部を再開発し、アジアとの共存共栄をめざす「アジア起業家村」構想を打ち出した。特にIT(情報技術)やベンチャー産業がさかんな韓国との交流に前向きに取り組んでいる。
今回、川崎市と大邱市は、経済交流を拡大していくことに合意し、①企業間交流の支援②企業活動に関する情報交換と交流拡大③産業支援機関および団体・大学などとの連携強化と産業交流・協力に関するネットワークの形成――などを盛り込んだ経済交流協定に署名した。
大邱には大邱テクノパークなどのベンチャー育成機関があり、川崎もベンチャー拠点かながわサイエンスパークを擁している。今回の提携が、両地域の活性化につながり、大きな成果を生むことを期待したい。(G)