わたしたちの生活に電気やガスといったエネルギーは不可欠だが、地球規模で進む温暖化や環境汚染、原油の高騰などで化石燃料に依存する現在のエネルギー政策は危機に瀕している。中国やインドなどアジアを中心とする途上国の急速な経済発展に伴い、2030年にはエネルギー消費量が現在の1・5倍になると試算されており、国際的な対策が急務になっている。
そんな中で浮上しているのが、核融合エネルギーだ。核融合とは、重水素と三重水素(トリチウム)の原子核が結合するときに、巨大なエネルギーが発生する。太陽も同じ核融合反応によってエネルギーを放射しており、これを地上で実現する、つまり「ミニ太陽」をつくるという試みだ。燃料の重水素は、海水中に豊富にあり、地球温暖化の原因となる二酸化炭素も排出せず、原発のような危険性もない。これが実用化されれば、地球汚染やエネルギーの枯渇といった心配もなくなるだろう。
この研究を進める国際熱核融合実験炉(ITER)プロジェクトがすでに始動し、韓国、日本、米国、欧州連合(EU)、ロシア、中国の6カ国・地域が120億㌦を投じて、仏カダラッシュに実験炉をつくることも確定した。しかし、技術開発はこれからだ。これに伴い韓国と日本は先月25日、核融合分野での技術協力を拡大していくことに合意した。
両国がイニシアチブをとり、世界をリードして、ぜひ核融合エネルギーの実用化に成功してほしいと思う。何よりも、今後エネルギーを最も消費するアジアに貢献できる意義は計り知れない。
核融合は、エネルギー源だけでなく、半導体、宇宙技術など幅広い分野の技術発展にも寄与できるといわれており、「ミニ太陽」の実現に向けて韓日が一致協力して取り組んでいけば、大きな波及効果も期待できる。未知の分野に共同で挑むことは、両国の科学界の発展のみならず、国民同士の連帯感醸成にも役立つと期待したい。(G)