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2007/10/05

<鳳仙花>◆門戸開設30年―在日弁護士75人◆

 9月中旬、司法試験の合格発表があり、日本の法科大学院(ロースクール)を出た在日コリアンの男女2人が、見事に合格した。在日弁護士は現在75人、この2人が弁護士になれば77人に増える。

 2人は朝鮮大学校に99年に設置された法律学科の一期生で、卒業後、法科大学院に進んでいた。同校卒業生の司法試験合格者は初めてという。在日弁護士が一人もいなかった時代を考えると、隔世の感がある。

 日本で外国籍者の弁護士への道が開けたのは1977年のこと。それまで弁護士を志す在日コリアンは、最高裁任用課の「外国籍者は司法修習生になれない」との事項に阻まれ、帰化せざるを得ない状況が続いていた。

 これに対し、韓国籍のままで弁護士を目指す在日コリアンが、最高裁に採用要望書を提出し、同時に世論に訴えた。それを受けて日弁連や市民団体などが強く支援し、ついに最高裁は外国籍司法修習生の採用を認める一文を条項に加えた。

 それから30年、外国籍弁護士は現在81人(韓国籍69、朝鮮籍6、中国籍5、米国籍1)になった。ほとんどがコリアンである。

 弁護士としての一般業務に加え、在日の人権問題や戦後補償など、様々な場で活躍する在日弁護士が増えた。マンションの入居差別を受けた大阪在住の在日3世の女性弁護士が、自ら訴訟を起こして勝訴するなど、活発な活動を展開してきた。

 また2002年には、在日コリアン弁護士のネットワーク体としての「在日コリアン弁護士協会」が誕生、横の連携もとるようになった。

 このように弁護士の道は広がったが、裁判官や検事にはまだ国籍条項が残されている。在日の職業選択の自由は、昔とは比較にならないほど広がった。だがまだ制約があるのは事実だ。法曹界でも在日弁護士が新たな活路を切り開いていくことを期待したい。(L)