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2007/09/28

<鳳仙花>◆福田康夫・新首相への期待◆

 安倍内閣の総辞職を受け、福田康夫新内閣が発足した。福田新首相は、小泉首相のようなリーダーシップに欠け、個性に乏しいという批判的な声も一部で聞かれるが、歴代最長の官房長官在任時代に示した調整能力が、今後の政局運営、特に外交面で発揮されることを期待したい。

 周知のように福田新首相の父親は福田赳夫元首相であるが、その福田元首相は、アジア重視の姿勢を示した政治家として知られている。それを代表するのが1977年にフィリピンのマニラで行った「福田ドクトリン」と呼ばれる演説で、そこで元首相は、「軍事大国とならず東南アジアひいては世界の平和と繁栄に貢献」「心と心の触れあう信頼関係の構築」などを打ち出した。福田元首相は、永らく日韓協力委員会の会長を務め、韓国との友好親善に尽くしたことでも知られる。この精神は、息子の康夫氏にも受け継がれており、ことあるごとに近隣諸国との関係重視を強調している。

 「私は韓国、中国両国と争って、いいことは何もないと思う。お互い協力し合い、お互いに成長していく形がいちばん望ましい。いちばん近い国々とうまくいかないというのは、精神的にも物質的にも良くないと思う」(2006年4月、内外ニュース東京懇談会での講演)と語っており、この言葉がどのように実施されるか、注目したい。

 韓日関係は、小泉首相の靖国参拝への固執によって亀裂が生じ、せっかく合意した首脳会談の定期実施も雲散霧消してしまった。福田新首相は、「靖国には参拝しない」と明言しており、この点で隣国と摩擦が生じることはないであろう。とにかく、途絶えている首脳外交を一刻も早く復活してほしい。

 北朝鮮問題についても、「北朝鮮を孤立させる政策には慎重であるべきだと考えている」と述べ、安倍政権の「圧力型」から「対話型」に転換する可能性を示唆した。今後の福田新首相の手腕を見守りたいと思う。(N)