人間は食糧なしには生きられない。飽食の世の中に生きている私たちは、この最も簡明な真理を忘れがちであるが、韓国も日本もあまりにも多くの食糧を輸入に依存している現実がある。
FAO(国連食糧農業機関)の調査によれば、人口1000万人以上の74カ国中、日本の穀物自給率は24%で、先進国中最も低く、韓国も同様に32%と低水準だ。
この自給率の低さは食生活にどんな影響を及ぼしているのだろうか。例えば、韓国で3度の食卓に必ず出るキムチ。いまでは100%自給しているわけではない。安価な中国産輸入キムチが多く出回るようになり、キムチの材料である白菜や唐辛子、ニンニクなども中国から大量に輸入している。
一方、日本食に欠かせないてんぷらそばの材料をみると、驚くなかれ、そばの77%が中国産だ。エビはほとんどがベトナムなど東南アジア産で、日本産は5%。つゆの原料となる大豆は90%近くを米国とブラジルに依存、日本産はたったの3%にすぎない。これで日本食だろうか。
両国とも自給できるのはコメぐらいといわれるが、コメの市場開放圧力は年々高まっており、いつまでも「聖域」であり続けることはできない。さらに深刻なのは離農に拍車がかかっていることだ。急速な工業化の当然の帰結ではあるが、農村人口がともに1割を切ったことを真剣に受け止める必要がありそうだ。
日本では農村回帰をめざし都市生活者の農村移住促進運動が起こっているが、焼け石に水の状態だ。韓国のセマウル運動を中国が学ぼうと視察団をおくっているが、肝心の国内では離農が止まらない。
このように韓日両国とも、農村を復興し食糧自給率をいかに高めるかという同じ悩みを抱えている。共同で取り組んでみてはどうだろうか。情報交換も深まり、きっといい知恵が出てくると思う。食糧問題に限らず、両国には共通課題が多くあり、今後は共同で解決していく共栄の研究推進もできる間柄になる努力が大事ではないだろうか。(S)