障害のある子どもを持つ在日3世の知人の女性は、北京パラリンピックが開催された12日間、家族でテレビ画面に釘付けだった。「障害のある子どもをどう育てていけばいいか、その不安は十数年経った今も続いているが、パラリンピック出場選手の活躍は、大きな勇気を与えてくれた」と目を潤ませた。
陸上100㍍で11秒17の驚異的記録を打ち立てた両足義足のオスカー・ピストリウス選手(21、南アフリカ)はもちろん、盲目で42・195㌔を走るマラソンランナー、片手片足で泳ぐスイマー、そして車いすを自在にこなすバスケットやテニスの選手ら。障害に負けず、ひたむきに挑戦を続ける各選手の姿に感動と勇気をもらったのである。
パラリンピックは、戦場で負傷した兵士のリハビリとして、「手術よりスポーツを」の理念で始まったが、障害者福祉を促進させる役割も果たしている。韓国でもソウルパラリンピック(88年)を契機に、障害者福祉が大きく前進した。このようにパラリンピック効果で障害者福祉も発展した。もちろん課題は多いが、スポーツとの相乗効果が想像以上に大きい。
在日社会の現状はどうか。前述の知人は、障害を持つ子どもが生まれた16年前、障害者に対する支援どころか、理解さえなかったという。「以前よりは良くなったが、在日社会の障害者への関心はまだまだ低い。パラリンピックで活躍するような在日選手が出てくれば見方が変わるかもしれない」という。障害者が人生に挫けることなく、希望を抱けることこそ大事だ。
韓国は北京パラリンピックで金メダル10個、総合13位という好成績を残した。在日社会ではこれまで、オリンピックや韓国国体に派遣する選手を発掘してきたが、障害者スポーツにも関心を持ち、パラリンピック出場選手の発掘にも取り組んでほしい。(L)