北京五輪アーチェリー団体戦で、韓国が女子6連覇、男子3連覇を成し遂げ、韓国メディアは「神弓コリア」と称えた。特に女子は84年ロス五輪から数えて前大会までに、個人・団体合わせてメダル23個のうち18個も獲得している。特に88年ソウル大会と2000年シドニー大会では、金・銀・銅すべてのメダルを独占した。こんな競技はほかにない。強さの秘密は一体どこにあるのだろうか。
アーチェリーは直径122㌢の標的に矢を当てる競技で、高得点となる中心部分は直径12・2㌢しかなく、矢は時速200㌔を超す。70㍍先から射るには集中力を要し、20㌔を超える引き重量をコントロールする強靭な筋力に加えて、プレッシャーをはねのける強い精神力が要求される。
韓国は、練習に様々な工夫を加えてきた。例えば、野球場や公園などでも矢を放つ練習をして風雨や騒音に適応する、陸軍の特殊訓練に参加して度胸をつけるなどである。一見無茶だが精神力は大いに鍛えられるという。また国際大会よりも国内選考会で勝利するほうが難しいといわれるほど、高レベルの競争を幼い時から勝ち進むことで、プレッシャーに強くなるという。
韓国にアーチェリーが紹介されたのは1959年のことで、歴史は浅い。石奉根という体育教師が、在韓米軍人がアーチェリーをしているのを見て関心を持ち、学校に弓道部を作ったのが始まりという。
60年代末には若者の鍛練のため、男子は跆拳道、女子はアーチェリーが奨励された。そして78年、第8回アジア大会で、当時17歳の女子高生、金珍浩(キム・ジンホ)選手が個人優勝、さらに79年の世界選手権では30・50・60㍍、個人総合、団体の5冠王に輝き、アーチェリーブームが押し寄せた。
現在、13カ国の監督、コーチが韓国人で、一流選手が使う用具も90%以上が韓国製というほど、アーチェリー界をリードしている。どこまで記録を伸ばすのか、スポーツファンならずとも楽しみだ。(L)