日本は究極のペットブームである。中でも犬の人気は高く、米国の6000万頭には及ばないものの、約1300万頭の犬が飼われている。その半面、捨てられる犬が後を絶たず、年間約15万頭が殺処分されているという。
日本サムスンが、社会貢献事業の一環として、こういった捨て犬を活用して、聴導犬を育成するとともに、社会からドロップアウトした青少年の自立を助ける「あすなろ学校」を今春、神奈川県横浜市に開校した。サムスンは、1995年から盲導犬など特殊犬の訓練施設を韓国(龍仁)で運営し、大きな成果を上げており、そのノウハウを生かして、世界で初めて聴導犬育成による若者の自立支援に挑んでいる。ぜひ成功させてほしいと思う。
あすなろ学校は、聴導犬の育成とともに、児童養護施設などの出身者や社会に適応できない若者を受け入れ、犬の訓練の補助や職業訓練を行い、社会に巣立つ手伝いをする。いまのところ、半期5人ずつ、年間10人を受け入れ、聴導犬10頭を輩出する計画だ。
聴導犬というのは、あまり馴染みがないが、玄関のチャイムの音を聞き分けて、訪問客を知らせたり、ガスにかけたヤカンのお湯が沸いたことなどを伝え、耳の不自由な人の生活を介助する役割を果たす。日本には約36万人の聴覚障がい者がいるといわれるが、聴導犬はわずか13頭しかおらず、絶対的に不足している。日本サムスンの試みは、聴導犬の普及に貢献するだけでなく、若者の自立を助けるという二重の意義があり、今後の成果に期待したい。
韓国企業では、現代自動車が世界青年奉仕団を組織し、若者500人を東南アジアなどの途上国に派遣するボランティア活動を開始した。世界的企業は、どこも社会貢献活動に熱心だが、お金を出すだけという企業が少なくない。こういったサムスンや現代自の社会に役立つ活動に注目していきたい。(G)