原油高、牛肉騒動で苦しむ韓国に久しぶりに明るいニュースが届いた。ゴルフの全米女子オープンで韓国の朴仁妃(パク・インビ)が優勝した瞬間を未明のテレビで見ていた韓国国民の多くが歓声を上げた。今月23日に20歳の誕生日を迎えるシンデレラの誕生であり、韓国女子ゴルフの歴史に新たな1㌻を開いた。それは女子ゴルフの世界は「朴セリキッズ」(朴セリの子供たち)が牽引することになるだろうという期待でもある。
UPGA(米女子プロゴルフ協会)のホームページは、トップ画面に「From PAK(朴セリ)to PARK(朴仁妃)のタイトルを掲げた。朴仁妃は10年前に同大会で当時史上最年少の20歳で優勝した朴セリの申し子である。1998年7月7日午前3時、当時9歳だった朴仁妃は、目をこすりながら両親とテレビを見ていた。朴セリが韓国人で初めて全米女子オープンを制覇し、大きな優勝カップを高く掲げた姿をみて「私もあのようになりたい」と思った。これが彼女の原点だった。今大会には同じような思いを抱いた年頃の韓国人が8人も出場、全員好成績をあげている。
朴仁妃は、「朴セリ先輩が私と同じ年頃の選手に本当に多くの影響を与えた。私たちの多くが88年生まれで、恐らくみんな朴セリ先輩の優勝する姿を見てゴルフを始めたと思う」と語った。そして、朴仁妃優勝の姿を見た子供たちも同じようなチャレンジをするに違いない。韓国女子ゴルフの伝統が作られていくことになる。
ライバル韓国の活躍に日本選手も刺激を受けている。27位に終わった宮里藍は「彼女たちにはそこまでに到達する過程があった。私もそれを大切にしたい」と述べている。
スポーツは体と技を磨くだけでなく心も磨かなければ、高みには到達できない。朴仁妃の優勝も精神力の勝利だったといえる。どんな状況でも表情を変えない精神力の強さは朴セリから受け継がれたのか。裸足になって池に入る姿に魂を見たのかも知れない。
朴セリが蒔いた「朴セリキッズ」。それが花開いた。1人の先人の偉大さでもある。(S)