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2008/04/25

<鳳仙花>◆国際結婚の悲劇が問う韓国社会◆

 外からは見えにくいことがある。韓国で急増している国際結婚をめぐる悲劇もその一つだ。

 年間8000人ほどのベトナム人女性が、韓国人男性と結婚するため訪韓しているが、昨年1月、結婚当時19歳のベトナム人妻が夫の韓国人(47)に殴られ死亡するという事件が起きた。被告の夫は、貯めた1000万ウォンで結婚仲介業の斡旋を受けてベトナム人女性、ファンマイさんと結婚した。だが妻は、言葉は通じず、酒浸りの夫から日常的に暴力をふるわれ、結婚1カ月で帰国しようとした。夫は結婚詐欺にあったと思い殴り殺した事件だ。

 この事件の控訴審で韓国中部の大田高裁の金相俊裁判長は、韓国人の夫に懲役12年の刑を宣告した。金裁判長は判決の中で、「コリアンドリームを夢見てこの地の妻になるため韓国に来た19歳の被害者の小さな願いを守る力量が我々にはなかった」「21世紀の経済大国、文明国といううわべの中に隠された我々の内面の野蛮性を心痛の思いで告白しなければならない」と述べた。これはファンマイさんへのせめてもの弔辞であり、裁判官の矜持だった。

 亡くなる前日に妻は、夫に宛てた手紙で、「あなたに分かる?ベトナムではどんなに働いても着ることと食べることがやっとだった。私が韓国に来た時、これ以上望むものはなかった。ただあなたが私のことを理解し、信頼し頼りあうことだけを願ったのに…」と切々と綴っていた。涙を誘う内容だ。

 韓国には就業などで東南アジアの人が多く来ているが、彼らをあからさまに見下す韓国人の態度も前から問題になっていた。今回の事件にはそんな下地があったのかも知れない。金裁判長も「他国の女性をまるで品物を輸入するように取り扱うわが社会の未熟さが破局を生んだ」と社会全体の責任として問うている。

 いままさに韓国人の倫理性、道徳性が問われているといえよう。このような問題に積極的に取り組まなければ、「韓国先進化」はスローガン倒れに終わるしかない。「実用主義」一辺倒では解決できないだろう(S)