李明博大統領の重要選挙公約だった「韓半島大運河構想」の行方が微妙だ。与党・ハンナラ党の4・9総選挙公約から大運河構想が外され、姜在渉代表は「再検討する。しないこともあり得る」と慎重姿勢をみせた。これは大運河構想に対する賛否が渦巻く中、選挙に不利に作用すると判断したためと見られている。だが、国土を改造する重要案件である。国民の審判を避けていいのだろうか。
この国家プロジェクトについて、国土海洋部は「来年4月に大運河事業に着手し、李大統領の任期内に完成させる」との内部報告書をまとめ、これがまた物議を呼んでいる。「政府・与党で違うではないか。一体、推進するのかしないのか」と。
大運河構想は李大統領の悲願である。ドイツ・デュースブルクのライン川沿いにある運河を見て感嘆し、「汚れた水、身近でなくなった川、放置された自然環境を蘇らせる韓民族のルネッサンス」として推進する決意を固めた。大統領選挙の公約に掲げ、水資源の確保、物流コストの節減、大気汚染の防止、内陸港湾都市の開発などの様々の効用を挙げた。
だが大統領就任後、「自然環境を破壊させるものだ」と環境団体などの反対論は強まりをみせ、2000人以上の大学教授たちが大運河反対の運動体を結成した。野党は今回の総選挙で絶対阻止と気勢を上げている。政府・与党は難しい立場に追い込まれており、公約だからといって無理に実行しようすれば大きな副作用をもたらす恐れがある。盧前政権が進めた首都移転計画失敗の教訓もある。緊急性が高いわけでもなく、効果のほどもはっきりしない計画を推し進めた結果、多大な政府予算を無駄にした。
韓半島大運河構想はフロンティア精神に溢れた事業である。だが、異論が多いだけに、妥当性に関して十分な検討を重ね、国民を納得させる必要があろう。拙速は禁物であり、緊急を要する課題でもない。「三千里錦繍江山」といわれる韓半島にとって本当に望ましいことなのか、中長期的な課題として取り組んでみてはどうだろうか。(S)