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2008/03/21

<鳳仙花>◆韓日中の緊急課題「黄砂」対策◆

 この季節、日本ではやたらと顔にマスクをした人が目に付く。春の招かれざる客「花粉症」の到来である。韓国でも春先はマスクが必需品になる。中国内陸部で巻き上げられた砂や土、鉱物粒子が偏西風に乗って飛来する「黄砂」のためだ。今月初めには、ソウルの空がどんよりとよどんで視界不良になったほか、釜山・蔚山地域では、幼稚園や小学校などが休校になり、始業式や入学式が延期される事態となった。

 日本でも九州・沖縄から東北までの広範囲で観測され、ノドの痛みを訴える人が相次いだ。しかし、中国に近い韓国はより深刻だ。視界悪化で航空機が欠航したり、精密機器工場の操業が中断し、呼吸器科、皮膚科、眼科に通院する患者が急増する。

 近年、この被害は拡大傾向にあるという。その原因は、地球温暖化によって中国大陸の雪解けが早まり土壌が乾燥しているためで、森林伐採に伴う緑地の減少なども影響している。さらに、中国の急速な工業化によって、黄砂とともに工場から排出されるダイオキシンなどの有害物質が飛来し、人々の健康をむしばんでおり、早急な対策が必要だ。

 韓日中は、昨年12月の3カ国環境大臣会合で、本格的な対策に乗り出すため、黄砂のモニタリングや早期警報ネットワークの構築に向けた共同研究に着手することに合意し、今年上期中に作業部会を立ち上げることを決めた。ところが、韓日は黄砂観測レーダーで監視し、情報を共有しているが、発生源の中国は、気象情報の国外提供を法律で禁じており、データ提供に応じていない。韓日は共同で中国にはたらきかけ、早急にデータを共有できる体制をつくるべきだ。また、黄砂を抑制するための植樹や土壌改良など、韓日が中国に協力できることはたくさんあると思う。

 韓日中の空は、一つにつながっている。この空を共有財産として、地球環境の保全に3カ国が協力していくことが肝要だ。(G)