2004年11月の第6回交渉を最後に3年以上も途絶えていた韓日自由貿易協定(FTA)交渉がようやく再開される見通しとなった。25日の大統領就任式直後に行われた李明博大統領と福田康夫首相の韓日首脳会談で交渉再開への準備に合意したもので、閉塞状態から一歩踏み出したことを歓迎したい。
李大統領は、就任式の演説で、各国とのFTAを推進し、経済の再生を図りたいと強い意欲を示しており、日本との交渉再開も「実利」を重視した戦略の一環とみられる。ただし、当初、両首脳が「韓日FTA再開」を宣言すると予想されていたものが、「予備的協議を行う」にトーンダウンしたのは残念である。両国にはそれぞれ複雑な思惑があり、それほどFTAの締結への道のりは険しいということか。
韓日両国は、それぞれが中国、米国に次ぐ第3位の貿易相手国であり、経済パートナーとして切っても切れない関係にある。しかも、グローバル化の中で、韓日が世界の経済を動かす大きな力になっている。
こういった中で、FTAは両国の利益だけでなく、アジアの成長に寄与し、広くは世界経済の発展に役立つ。こういった認識は、韓日双方の政府関係者、財界人の間でも一致しており、本紙が行ってきた取材でも一様に「FTA歓迎」を唱えている。それにもかかわらず、交渉が進まないのはなぜなのか。
FTA交渉の中断は、日本の農水産物開放の不備や、韓国側の日本製部品の流入警戒論が原因とされるが、一方で靖国参拝や独島(竹島)などの政治的問題がからみ、棚上げ状態に陥ったともいわれる。こういった状況を打開すべく、韓日首脳は今回、交渉再開へゴーサインを出した。互いに知恵を出し合い、譲歩すべきところは譲歩し、速やかに妥協点を見い出す努力が必要だろう。そのためには、「求同存異」の精神に立つことが肝要だと思う。(G)