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2008/01/25

<鳳仙花>◆「日本に謝罪求めず」次期大統領発言の含意◆

 一挙手一投足に関心が集まっている李明博次期大統領。日本の政財界も強い関心を寄せており、シャトル外交復活が期待されている。そんな日本との関係について、李次期大統領は先日、外信記者との会見で、「さらに成熟した韓日関係を作り上げるために、(日本に対して)謝罪せよ、反省せよといった言葉は使いたくない」と発言、論議を呼んでいる。

 この発言は、李次期大統領の掲げる「実利主義」の立場から、「外交も形式ではなく、実質的に両国の役に立つ方向でやる」という趣旨から出たものであろう。

 だが、他党からは「国民感情とかけ離れたものだ」「日本の歴史歪曲などの懸案がまだ解決されていない状態で過去を問わないと発言しては、日本に誤ったシグナルを送る可能性がある」との批判が相次いだ。

 これをどう解釈すべきだろうか。

 注目すべきは、李次期大統領は発言の中で、「日本は形式的ではあるにしても、謝罪や反省はすでに行っている。韓国国民に感動を与えることはなかったが、日本にそのようなことを要求しなくても、成熟した外交を行ってくれると信じている」とクギをさしている点だ。

 盧武鉉大統領も最初は小泉首相と韓日シャトル外交を展開、04年の済州道でのノーネクタイによる首脳会談では、過去の歴史問題について、「任期中は提起しない」とまで表明した。だが、小泉首相の靖国神社参拝、島根県議会の「竹島(独島)の日」宣言と続き、両国の政治的関係は急速に冷却化した。その教訓が思い起こされる。

 実は、李明博次期大統領は、実利主義者であるが、ソウル市長時代にはソウル市庁舎に巨大な太極旗を掲げた民族主義者でもある。両国が本当に成熟したパートナーになるためには、韓国側の自制だけでなく、日本の一部政治家の対韓妄言や歴史問題で無用な軋轢を起こさせないようにすることが大事ではないか。そうしてこそ、李明博次期大統領の発言も生きてくると思う。(S)