来年のサッカーW杯南アフリカ大会出場を目指す在日3世青年の夢が、後一歩で実現しようとしている。北朝鮮代表チームをけん引している、FW鄭大世(Jリーグ川崎フロンターレ)とMF安英学(韓国Kリーグ水原)の2選手だ。
北朝鮮は世界ランク106位、W杯出場は1966年以後果たしておらず、今大会も大方の予想は下位だったが、それを覆して、アジア予選B組で韓国に次ぐ2位につけている。
その躍進の要因は、元々あった強い精神力と身体能力の高さに加え、鄭選手がJリーグで培った練習方法、プレースタイルなどを伝授し、チーム力をアップさせたこと、前大会に次いで2度目の代表入りした安選手が、国際試合の経験が少ない選手たちに、国際ルールの厳守とフェアプレーの精神を伝達したことにあるという。
さらに「北の選手と同じ目線で付き合い、互いに認め合うことで、チームワークがよくなった」(鄭選手)と語る通り、2人のコミュニケーション能力もチーム力向上に貢献した。
2選手とも日本で民族学校の出身であり、サッカーを始めた時から「在日の誇りを胸に北朝鮮代表入り」が夢だったという。そのための日々の練習が、今日の実力を培ったようだ。
6日のイラン戦を控え、鄭選手はJリーグのジュビロ磐田に所属する韓国代表FWの李根鎬選手と、「共にW杯に出よう」と南北同時出場を誓ったという。またKリーグの安選手も、チームメートに激励されたという。そこには民族とか国籍の壁は何も無い。ぜひ期待に応えてほしい。
現在B組トップの韓国は、7大会連続出場をほぼ確実にしている。その韓国とともにW杯出場を果たし、世界のサッカーファンを沸かせてほしい。両チームが活躍すれば、核問題で緊張する韓半島にも、平和の風を吹かせてくれるだろう。(L)