米国テキサス州フォートワースで開かれた第13回バン・クライバーン国際ピアノコンクールで、全盲のピアニスト、辻井伸行氏(20)が障害を克服して優勝し話題になっているが、注目すべきはそれだけではない。同時優勝に中国の張昊辰(チャン・ハオチェン)氏(20)、準優勝に韓国の孫ヨルム氏(23)が名を連ね、表彰式でにこやかに並ぶ3人の若きピアニストの姿は、音楽の世界でも韓日中の3カ国が躍進を遂げていることを強く印象づけた。
1962年の創設後、4年に1度開かれているこのピアノコンクールは世界的にもハイレベルの演奏が要求され、入賞すれば「完成されたプロの音楽家」としての評価が得られる。世界のクラシックファン注目のコンクールだった。今回、難関の最終選考に残った6人中、アジアが4人(韓日各1人、中国2人)を占め、欧米はイタリアとブルガリア各1人。この段階ですでにアジア優位だった。
優勝の辻井氏は、「1位と2位を日本、中国、韓国のピアニストが分け合ったのは、とても意味のあること」と述べているが、アジアの仲間意識が強まったのだろう。
3人の中で唯一女性の孫氏は、深い音楽性としっかりしたテクニックを併せ持ち、早くから次代を担う若手ピアニストとして注目されていた。「第3回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」に最年少11歳で2位入賞、「ロシアの音楽を本当に理解して演奏する参加者は他にいなかった」と評価された。4年前に東フィルとの協演で来日した折、本紙のインタビューで「隣国なのに遠く感じることのある日本だが、公演することで親近感を感じている。今後さらに音楽交流が進めばと思う」と述べていた。
アジアの時代といわれ、韓日中3カ国は、経済だけでなく、スポーツでもオリンピックで上位を占め、ゴルフ、水泳などで有望選手が続々登場している。今回の世界的コンクール席巻が示すように文化・芸術分野も例外でない。優勝、準優勝を分け合った3人は、これを機会に、ぜひ韓日中の文化交流促進のシンボルになってほしい。(S)