世界のゴルフ界に37歳、済州道生まれのスターが誕生した。男子ゴルフの最高峰、全米プロ選手権大会で韓国のY・E・ヤン(梁容銀/ヤン・ヨンウン)選手がアジア選手として初めてメジャー大会を制覇した。タイガー・ウッズ選手を破っての優勝だ。韓国ゴルフ界で世界を席巻している女子に比べ、男子は影は薄かったが、これでヤン選手は、11年前にメジャーを制した朴セリ選手のように世界で活躍する男子選手の底辺を拡大する先駆者の役割を担うことになった。大いに期待したい。
米メディアは、今回のヤン選手優勝を大きく取り上げ、「ヤンの優勝は、マイケル・ジョーダンが決勝第7戦で終了ブザー直前にダンクシュートを決めたのと同じくらい衝撃的だ」「ヤンは終盤で驚くべき強さを見せた。勝者は人気や知名度では決まらなかった」と報じた。朴セリ選手も、「メジャー大会のプレッシャーはどの大会にも比較することができず、ウッズ選手を下したのだから、本当に誇らしい」と称えた。
このように、今回の試合ではトップを行くウッズ選手を相手にプレッシャーをはねのけ逆転劇を演じたヤン選手の精神力が際立った。ヤン選手は、「今までで一番、感情をコントロールできた」と語っているが、地元ゴルフ関係者は、「他の人より十倍、百倍の血のにじむ努力と集中力、それに執念だ」と分析した。
ヤン選手は済州道西帰浦市の貧しいみかん農家の生まれ。高校時代はボディビルダーをめざして体を鍛えたが、軍隊除隊後はゴルフ練習所の球拾いからはじめ、生計費を稼ぐためウエイターや工事現場で働き、ビニールハウスのパイプで1日12時間スウィング練習するなどの努力を重ね、忍耐力と精神力を鍛えた苦労人である。
折りしも、2016年夏季五輪でゴルフが正式競技に追加される見通だ。五輪競技採用が実現すれば、ゴルフは競技としての発展にも一層の注目が集まることになる。韓国はアーチェリーで金銀銅を独占する勇名を馳せたように男女ともメダルに向かって一層精進してほしい。(S)