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2009/10/09

<鳳仙花>◆2020年夏季五輪の釜山・福岡共催◆

 2016年の夏季五輪開催地がブラジルのリオデジャネイロに決まった。「南米初の五輪」を訴えたルラ大統領のアピールが支持を広げ、「南米初の五輪はすべての発展途上国に五輪のドアを開ける」との主張が共感を得た。東京、シカゴ、マドリードは敗れ去ったが、明らかにアピール力の差だった。早くも次の2020年五輪に挑戦する都市が動き出しているが、今度は「五輪初の共催」をめざしてはどうだろうか。

 アジアでの夏季五輪は1964年に東京が初開催し、次いで第2次大戦後独立した国の都市で初の88ソウル五輪、そして世界人口の2割を占める中国の北京と続いた。いずれもメッセージ性が強くあった。2020年の五輪開催地にはローマがすでに名乗りをあげており、アジアはドーハやシンガポールなどが立候補の動きをみせている。韓国も釜山が招致運動を展開中だ。日本は東京の再挑戦のほか、福岡や札幌も挑戦する可能性があり、88年開催地をめぐりソウルと名古屋が争ったような熾烈な韓日競争が始まると予想する声もある。

 釜山では、昨年の100万人署名運動成功を受け、地域260の市民団体・社会団体が一体となって招致活動を展開している。福岡は16年五輪招致の国内競争で東京に敗れた苦い経験があり、汚名挽回の機運が強い。そんな両市は、行政交流20周年を記念した「福岡・釜山友情年」式典が先月開かれるなど交流関係が深い。両市を中核とする「海峡経済圏」構想が推進され、国境をまたぐ地域連携のモデルとしても注目されている。

 そこで、海峡を挟んで隣接するこの両地方都市の五輪共催は検討してみる価値があると思う。すでに大成功したサッカーW杯初の韓日共催は2002年に経験があり、不可能なことではない。五輪は都市に開催権があるが、これまで大都市偏重だった。それが地方都市、それも2カ国にまたがっての共催となれば、五輪に新たな息吹を吹き込むかも知れない。五輪は平和の祭典であるが、共催という力を合わせることで平和の理念もより一層輝くことだろう。(S)