日本の岡田克也外相が日韓中共通歴史教科書を提案した。歴史問題の対立を解消する方法として提案されたものだが、植民地支配の加害国であった日本の外交責任者からこのような話が出されたことは、大いに注目したい。
歴史問題はこれまで3カ国間の大きな摩擦要因となってきた。韓日間では植民地支配や独島(竹島)の記述をめぐって、反日デモが起きた。日中間でも同様だ。また韓中では古代国家・高句麗の帰属をめぐって対立が続いた。
世界を見ると共通の歴史教科書を実現した例がある。フランスとドイツは2003年、世論を受けて「不幸な過去の歴史を払拭し、和解と統合の新しい歴史を作るため」の共通教科書委員会を立ち上げた。それから3年で高校生用の共通歴史教科書を作り上げ、授業で活用している。
例えば大きな傷跡を残した第2次世界大戦のナチスの問題について、ドイツがなぜナチスを生んだのか、フランスのビシー政権はなぜ親ナチ政策をとったかなど詳細な記述を行い、大量虐殺という悲劇を二度と起こさず、共に欧州市民を目指そうという内容になっている。見解の異なる問題の両論併記は避け、相互理解に重点を置いている。またドイツは第2次世界大戦で被害を与えたポーランドとも共通教科書作りに取り組み、昨年試作版を完成させている。
欧州では実は半世紀前から共通教科書の必要性が提起されたが、このように実現するまでには長い時間がかかった。韓日間では共通の歴史教科書の必要性を唱える人々が2年前、「韓日歴史共通教材」と題した歴史授業の副読本を実際に作っている。豊臣秀吉の朝鮮侵略や、安重根による伊藤博文射殺も取り上げ、どちらにも偏らない、当時の歴史的背景を説明する記述を心がけた。また在日韓国人の歴史についても説明し、在日理解にも役立っている。東アジアの平和のため、歴史認識の確立は大切だ。政府レベルで取り組んでほしい。(L)