世界経済の重心がアジアに移動しているといわれるが、スポーツの世界もアジアが元気だ。特に韓国は女子の活躍が目立った。中でもフィギュアスケート女王の金妍兒選手(キム・ヨナ、19)、今季米ツアーで優勝したゴルフの申智愛選手(シン・ジエ、21)、世界選手権で4連覇した重量挙げの張美蘭選手(チャン・ミラン、26)の3人は際立った活躍で世界の注目を集めた。だが、世界が賞賛するスター選手になるには人知れない努力があった。そのことに触れてみたい。
彼女たちに共通するのはコンプレックスを克服したことだ。金妍兒選手は、幼年期に「O脚」で悩まされた。「着地する度にO脚になる」と言われ、これを克服するため、ひたすら練習に打ち込み、一度のジャンプに成功するため1000回も跳んだ。その結果、韓国には不可能とみられた世界フィギュアの壁を超えた。
申智愛選手は、小さな目のために「ボタンの穴」といわれた。だが、その小さな目でパットラインを見定め、卓越したパット感を自ら作り出した。そして初出場の米LPGAで3冠王(新人王、賞金王、最多勝王)の偉業を成し遂げたのである。
張美蘭選手には、「とんかつ」という本当に嫌なニックネームがついていた。バーベルを挙げる度に張選手はそのニックネームを思い浮かべたという。歯を食い縛り、金メダルだけを考えながら練習に励み、1日持ち上げる重量は5㌧に及んだ。
このように彼女たちには、コンプレックスを逆にバネにする前向きの考え方があった。韓国国民のアイドルになったのは、そのような前向きな思考に加え人々に対する優しさもあったからだろう。
韓国の環境財団は昨年末に「世の中を明るくした100人」に金妍兒選手と申選手を選んだ。2人とも、広告モデルで得た収益金をや各大会での賞金を貧しい階層のために惜しみなく寄付している。
いま世界は厳しい経済不況に襲われている。彼女たちの前人未到の活躍は、韓国のみならず世界の人々にも一服の清涼剤であり、「やればできる」との勇気も与えているのではないだろうか。さらなる活躍を期待したい。(S)