現代はブランドの時代である。国家ブランド、都市ブランド、企業ブランド、さらには個人ブランドという言葉まで使われており、ブランドイメージは人々の選択の基準でもあるようだ。韓国は経済力に比して国家ブランドは31位と低位に甘んじている。政府はこの国家ブランドを2013年までに世界15位以上に高める取り組みを開始したが、韓国のブランド力はどうあるべきかを考えてみた。
平林博・駐仏大使は「フランスに学ぶ国家ブランド」(朝日新書)で次のように記している。
「フランスの『輝く国』のイメージは、自然に任せてつくられたものではない。長い歴史を通じて、フランス人が、文化の重要性、特に文化が『国のかたち』をつくることをよく理解し、意図して努力してきた結果である。 景観や環境、文化遺産の維持、保存となると、規制を受け入れ不便をしのぐのである」
さて、韓国といえば何を思い浮かべるだろうか。キムチだろうか。サムスンの携帯電話や現代自動車の車であろうか。あるいは南北分断を象徴する38度線であるかもしれない。残念ながら、人を惹きつけるフランスほどの確立したイメージがない。
では、韓国はどんな国家ブランドをめざすべきだろうか。一つは頭脳国家である。「漢江の奇跡」「IT大国」を実現した実績がある。見るべき天然資源とてない狭小な国土という立地条件を克服できたのは、優秀な頭脳と努力があったからだ。これを今後の未来産業に生かすべきだろう。
いま一つは公園国家。韓国は古来より「三千里錦繍江山(サンチョンリクムスガンサン)」といわれ、美しい自然に恵まれている。5000年の歴史を有し、全国各地に文化遺跡がある。かつて、「全国土を公園のように緑でいっぱいにしよう」と提唱した人もいた。折りしも世界経済危機を契機に政府は環境に優しいグリーン成長路線を鮮明にしている。全国を一周する3114㌔の自転車道路建設計画も打ち出した。自転車をこぎながら自然を愛でる。大きな魅力ではないか。
他国にはない独自の魅力を発信する。そのための国づくりがブランド力の確立だと考える。(S)