行政間の交流を積み重ねてきた釜山市と福岡市が先週、それぞれの庁舎内に両市間の経済協力を専担する事務所を開設した。両市がそれぞれ派遣した職員が事務所長として常駐する本格的な事務所だ。その役割は、お互いの産業や企業、観光などに関する情報を提供する便宜を図り、画像テレビ会議システムも導入して、相手側企業と事前コンタクトできるサービスも提供するというものだ。交流拡大に向けた積極的な取り組みだと評価したい。
開所式は両市同時に行われ、テレビ会議で吉田宏・福岡市長は「私たちの間には海があるのに、まるでテーブルが繋がっているように感じる」と話し、許南植(ホ・ナムシク)・釜山市長は「テレビ会議を備えた事務所は行政だけでなく企業も商談などで大いに活用してもらえるだろう」と応えた。両事務所を拠点に今後、玄界灘を挟む両都市の人的交流や企業協力を後押しすることになりそうだ。
釜山と福岡は水産物のメッカでもあるが、来年からは双方の漁船が獲った魚を相手国の水産市場に直接下ろして委託販売できるようになる。現在は、例えば福岡中央鮮魚市場では韓国産ヒラメやアジなども売買しているが、これは釜山市場でセリにかけられ輸出入手続きを経たものだ。その分鮮度が落ち、流通費もかかる。このように様々な協力の可能性がある。
釜山と福岡の人口を合わせると500万人(釜山356万人、福岡146万人)にのぼり、経済規模を示す域内総生産は両市合計で1000億㌦(釜山457億㌦、福岡633億㌦)を超える。これを蔚山なども含めた韓国東南部と九州全域にまで広げると人口は2000万人を超え、地域総生産も5600億㌦に達する巨大経済圏になる。
いま世界はグローバル化の真っ只中にあり、中国の巨大化も急速だ。民主主義と市場経済を共有する韓国と日本は、共同市場へ向けて急ぐべきだろう。釜山・福岡間は距離的にも近く、その先駆けとなる条件を備えている。1000億㌦の経済圏構築へ向けて突き進んでほしい。(S)