韓国で昆虫に対する関心が高まり、産業創出の動きが活発化している。全羅南道・咸平(ハムピョン)郡では来月、「世界蝶祭り」が開かれ、昆虫など、生きた自然の美しさを学ぶため、国内外から100万人以上が訪れる。今年で12回目だが、これまでの経済効果は2800億ウォンを超える。昆虫による村おこしで成果を挙げた好例といえよう。
一方、昆虫に癒しを求めコオロギやカブトムシなどを飼育する家庭が増えている。ロッテワールドの自然生態体験館では、この2年間、昆虫販売で11億7000万ウォンの売上を記録した。折しも「ファーブル昆虫記」の完訳本も出版されるなど、昆虫の話題が絶えない。
地球誕生から46億年、人類の歴史は600万年に及ぶが、昆虫は人類よりはるかに長い4億年を生き抜いてきた。全動物の5分の4を占め、その数は500万種ともいわれる。
サハラ砂漠に棲むカゲロウの一種は、数十年も乾燥に耐えて生き、雨が降り湿度が上がると活動を始め、交尾し産卵する。変化する環境に瞬時に対応する生命力の強さは驚嘆に値する。近年では、昆虫の優れた能力を産業資源として活用する動きがみられる。
米軍はイラク戦でミツバチの卓越した臭覚を利用して地雷探索訓練を行った。日本では7色の光を放つタマムシの発色構造を自動車などの金属染色に応用する技術が開発されている。6足で走り回るゴキブリの身体構造を真似て偵察用の小型多足ロボットを開発するなど、「昆虫科学」の進展も興味深い。
韓国では、新素材の開発や環境浄化などに昆虫を活用する研究が活発だ。ショウジョウバエを使った遺伝工学研究、アブやコガネムシを使った廃棄物処理法など、研究範囲も拡大している。自然の宝庫と呼ばれる非武装地帯で、絶滅の危機に瀕した希少種を育てる試みも始まった。
このように昆虫は新産業の創出に貢献する資源として注目されている。韓国でも養蚕や養蜂に次ぐ第3の昆虫産業を創出し、新たな技術や製品を世界に広めてほしい。(Y)