韓国で1970年代に朴正熙大統領が先導して展開され、農村の近代化に大きく貢献したセマウル(新しい農村)運動がアフリカで注目されている。
その拠点ともいうべきコンゴ民主共和国のロングラ博士が先週、カビラ大統領と共に訪韓し、「ウガンダ、タンザニアなど他のアフリカ諸国にもセマウル運動を伝えたい」と語った。コンゴはいま内紛に終止符を打ち、「貧困との戦い」に取り組んでいるが、セマウル運動がアフリカ発展の一翼を担えれば素晴らしいことだ。
コンゴがセマウル運動を導入して6年になるが、その立役者がロングラ博士だ。韓国に留学中の2003年、「天然資源は豊富で土地も広いコンゴが韓国のように発展できない理由は何か」と悩み涙でいっぱいになった時もあったという。そんな時、セマウル運動に出会った。
「私の祖国を貧しさから救いたい」一心でセマウル研修院で実践教育を受け、「援助では貧困から抜け出せない。セマウル運動のようなより良い生活をしたいというビジョンと意思、行動が伴わなければいけない」との結論に達した。そこで学んだセマウル運動は現在、コンゴの18の村で実践されている。
実はロングラ博士は最初、自国の発展モデルを求めて欧州にも行ったが、コンゴに適用できるモデルは探せなかった。しかし、植民地被支配、戦争、貧困という同じような経験をした韓国からなら学べると確信したという。ここにシンパシー(共感)というか、連帯感のようなものがあると思う。実際、これまでセマウル運動を学びに74の途上諸国から4万7000人が訪韓している。セマウル運動は途上国の発展モデル、韓国を象徴するブランドのように映っているのだろう。
いまアフリカの人口9億人の80%が農村に住んでおり、貧困解消は農村が豊かになってこそ可能だ。勤勉、自助、協同のセマウル運動の理念がアフリカの大地で生かされるよう韓国もこれまで以上に後押ししてほしい。(S)