2001年1月、東京・新大久保でホームから転落した日本人を助けようとして亡くなった韓国人留学生がいた。故李秀賢(イ・スヒョン)さんだ。幼い時から日本、アジアに関心を寄せ、将来は貿易の仕事で韓日中を結びつけたいとの夢を持ち、日本に留学していた時の出来事だった。
李さんは日本生活中、民族的偏見にさらされたこともあったが、韓日友好に貢献しようとの思いが消えることはなかったと、御両親から伺ったことを思い出す。李さんの事件は韓日で大きく報道され、韓日交流・友好にも影響を及ぼした。
その李秀賢さんの例は特別にしても、留学生が交流に果たす役割は大きい。そんな留学生交流を活性化させようと、韓国・日本・中国の大学関係者が、「キャンパス・アジア構想」と名付けた大学生交流の新規事業でこのほど合意した。成績評価、単位の認定基準、共同学位の設定などが計画され、「大学の共通化」も視野に入れた交流である。
その成否が注目されるが、相互交流拡充には留学生への生活支援も欠かせない。李秀賢さんも留学中は、学費捻出や住まいで苦労したという。新大久保での事故も、アルバイト帰りの出来事だった。政府と大学は奨学金の増額にも積極的に取り組んでほしい。
韓流、日流、華流の言葉が象徴するように、3カ国の文化交流はこの間、急速に活性化している。
韓国政府の提唱で、10年後に成人する現在10歳の3カ国の子どもたちが、相手国の子どもたちへの思いを手紙に書き、タイムカプセルに入れて2020年に掘り起こすという事業もスタートした。
子どもたちから大学生まで交流の下地を広くすることは、地域間連携と相互理解に極めて重要だ。東アジアに役立つ人材を育てることは、「東アジア共同体」にもつながるはずだ。大いに期待したい。(L)