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2010/05/21

<鳳仙花>◆夢をかなえた在日3選手◆

 在日の鄭大世(チョン・デセ、川崎フロンターレ)、安英学(アン・ヨンハク、大宮アルディージャ)、梁勇基(ヤン・ヨンギ、ベガルタ仙台)の3選手が、北朝鮮代表としてワールドカップに出場することになった。在日選手がW杯に出場するのは初めてで、3人とも幼い時からの夢をかなえた。鄭大世選手は韓国籍だが、民族学校出身でもあることから北代表入りを目指したという。

 在日選手では他にも、日本国籍を取得して北京五輪日本代表となった李忠成(り・ただなり、サンフレッチェ広島)、韓国代表を経験した朴康造選手(パク・カンジョ、ヴィッセル神戸)らがいるが、サッカー最高峰のW杯出場は、特別だ。

 日本のスポーツ界では過去、サッカーでも野球でも、多くの在日選手が日本国籍を取得して、日本名でプレーしていた歴史がある。それを考えると、本名を名乗り、国籍にとらわれず活躍する若い在日選手が登場し出したことに、時代の変化を感じさせる。

 安英学選手は、前回2005年のW杯予選から北代表に選ばれている。Jリーグを経て韓国Kリーグに移籍するなど、3カ国でプレーした経験を持ち、「スポーツを通して懸け橋になりたい」という夢を実現させた。

 鄭大世選手と梁勇基選手も、Jリーグで培った力をW杯で発揮し、アジアサッカーの力を世界に見せたいと張り切っている。所属する各クラブチーム、サポーターも「W杯出場はチームの誇り」と応援。韓国のサッカーファンも3選手に注目しているという。

 初戦の相手は優勝候補のブラジルで、6月16日午前3時30分(日本時間)にキックオフする。眠い目をこすりながら観戦する在日の子どもたちも多いことだろう。

 MFの安、梁選手がFWの鄭選手にパスを出し、鄭選手がゴールを決める。そういうシーンをぜひ見たいものだ。その姿は在日の次代を担う子どもたちに、大きな夢と希望を与えることだろう。(L)