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2010/06/18

<鳳仙花>◆韓日中は文化共同体の道を◆

 韓国の初代文化部長官・李御寧(イ・オリョン)さんが最近、東京での講演会で、「韓国・日本・中国という東アジアの3カ国は、文化というソフトパワーを使って外交摩擦を平和的に解き、文化共同体としての未来を作っていこう」と提案した。吟味すべき提案だと考える。

 李御寧さんは文化部長官時代、韓国の文化発展政策に取り組み、それが今日の韓流に結びついたことで知られている。現在は韓中日比較文化研究所理事長を務めており、講演会の翌日には「再び書く韓日中 新三国志―過去100年、未来100年」というタイトルで国際シンポジウムを開催。3カ国を文化という視点から分析し、共同発展のモデル作りを提示した。

 シンポでは様々な意見が提案されたが、ある韓国側発表者は、「ネット世代の若者を中心に東アジア共同体の基盤を作るよう、若者を導こう」と強調した。日本側発表者は、「東アジア3国はこれまで(儒教や漢字など)の文化資本を共有している。文化交流に関わる文化遺産についても、百済伝来の善光寺(長野県)阿弥陀三尊像、高松塚古墳壁画と高句麗古墳壁画、中国の国清寺(最澄留学)などがある。東アジア共有文化遺産を設けてはどうか」と提唱。中国側発表者は、「政治・軍事の側面では時間と努力がかかるが、経済・文化なら3カ国に根本的な障害はない。バランスよく進めていこう」と呼びかけた。

 韓日中3カ国は2000年にわたって一つの文化圏を形成してきた。思想や宗教、教育など多くのものを共有し、支えあってきた隣国同士だ。過去、ナショナリズムが優先し、いさかいや葛藤もあったが、共有文化を生かした文化共同体の論議が起こったことは望ましい。

 李さんは「3カ国の文化が相互作用することで、世界をリードする、さらに良い文化が作られるはず」と語っている。文化共同体を、新しい100年の関係を作る土台づくりにしたいものだ。(L)