温室効果ガス削減が地球的課題になって以降、石炭や石油に代わる電源として原子力発電が見直されており、世界各国で原発プロジェクトが相次いでいる。2030年までに予想される新規原発建設は500基を超え、韓国は20年までにその新規発注の80基を受注する計画だ。原発建設には1基100億㌦はかかる。半導体、液晶、造船などで韓国は世界一だが、ぜひ原発でも世界一をめざしてほしい。
韓国は、昨年末にUAE(アラブ首長国連邦)から原発2基を400億㌦で受注し、「まさか韓国が原発でこんなに実力をつけているとは想像もしなかった」と世界を驚かせたが、最近もトルコとの間で事実上の原発受注を意味する了解覚書を結んだ。さらに、インドとは原子力協定締結のための交渉を開始、原発受注の布石を打っている。また、ヨルダンにはすでに研究用原子炉の輸出に成功しており、商業用の原発受注の可能性が高まっている。このほかにマレーシア、フィンランドなどが韓国原発に関心を示しており、リトアニアの訪韓団は、古里原発の視察までする熱の入れようだ。
韓国は現在、国内で20基の原発が稼動しており、稼動設備基準で米仏日ロ独に次ぐ世界6位だが、稼働率(93・4%)では世界1だ。日本の59・2%、フランスの76・1%より遥かに高い。稼働率が高いということは故障が少ないことを意味する。古里原発1号機の稼働から32年。長年に及ぶこのような稼働実績も原発受注の重要な評価基準だ。
UAE原発商戦で敗れた日本は、「技術者の育成など一体型の提案ができなかったことも敗因だ」と反省しているが、韓国は契約を交わすに際してUAEと経済協力協定を締結し、原子力分野のほか、再生エネルギー、造船、半導体、人材育成などで長期パートナー関係を結んでいる。
現代は、技術だけが問われる時代から人間性、企業力、国家の総合力が問われる時代といわれるが、韓国は今回の原発受注を契機に魅力あるパートナーと認めてもらうことの重要性を再認識した。韓国の新たな挑戦であろう。(S)