韓国に渡った20歳のベトナム人花嫁が、韓国到着8日目に相手の男性(47)に殺害される事件が起き、外交問題にまで発展している。男性は精神疾患をわずらっていたが、それを隠して結婚相談所に仲介を依頼していたという。何とも痛ましい事件だ。
3年ほど前にも、同じく19歳のベトナム女性が47歳の韓国人男性と結婚するために訪韓。酒乱で日常的に暴力を振るう夫に耐えかね、ベトナムに帰ろうとしたところ夫に殴り殺される事件があった。これも結婚1カ月目の悲劇だった。夫に暴力を振るわれたという外国人妻の訴えは、昨年だけで相談センターに1万数千件が寄せられたという。
事件の背景には、嫁不足に悩む韓国の農村男性と、貧困から抜け出すため国際結婚を希望するベトナム女性の事情がある。外国人妻は現在約12万人といわれる。その多くが中国・朝鮮族、ベトナム、フィリピン、カンボジアなどから来ている。朝鮮族の花嫁を除き、韓国語も、相手の男性もわからないまま結婚する例がほとんどだ。また男性側は仲介料を業者に払い、女性を「買った」という意識が強く、気に入らないとすぐに暴力を振るうという。
カンボジア政府が、韓国に嫁いだ同国女性が暴力事件を受けたことに抗議して、韓国人男性との結婚を一時ストップする事件も、この間起きている。追悼式でアジア人花嫁たちが、「殴らないでほしい。私たちも同じ人間なのだから」との追悼辞を読み上げたが、あまりにも悲しい。
李明博大統領は、「再発防止のために結婚仲介業者の実態を調査する」と言明し、「韓国人は外国人や外国の文化を受け入れる広い心を持たなければならない。多文化家族(国際結婚家庭)への認識も成熟すべきだ」と、国民の意識改革を訴えた。
経済だけでなく人権も先進国といわれるよう、社会全体で早急に取り組んでほしい。(L)