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2010/10/01

<鳳仙花>◆韓日中3カ国の観光交流拡大◆

 いまから46年前の1964年、東京五輪の半年前に日本の海外渡航が自由化された。初の団体観光旅行団の目的地はハワイで、旅行代金は当時の月収の6倍だったという。

 韓国の海外渡航完全自由化が実現したのは、それから25年後、ソウル五輪開催直後の89年だ。90年代初め、タイで韓国人の団体旅行客に遭遇したことがあるが、みな着飾って熱気に満ちていた。初めての海外旅行だったのだろう。それまで抑えられてきた海外旅行への思いが一気に爆発したような印象がいまも忘れられない。

 いま、その熱気を感じさせるのは、中国人観光客である。中国は97年に海外旅行を自由化、今年、韓日共に中国人向けビザを緩和したことで、両国への中国人観光客が急増している。先日ソウルを訪れたが、景福宮、明洞、東大門など、中国の団体ツアー客は数十人規模なので本当に目立った。1人当たり平均約13万円の買い物をする上得意客でもある。

 統計によると、韓国を訪れた中国人観光客は昨年約134万人だったが、今年は200万人を超える勢いで増えている。2012年には約300万人になる見込みという。ちなみに日本人観光客の訪韓は年間約300万人なので、日中から韓国を訪問する観光客だけで今年500万人、2012年には600万人になる計算だ。中国人観光客の海外旅行熱、日本での新たな「韓流」ブームを考えると、今後、それ以上の増加も見込まれるのではないだろうか。

 もちろん、韓国人の日本・中国への訪問も増えるだろうし、韓中間の往来も増えこそすれ、減ることはないだろう。東アジア3カ国の垣根は今後もっと縮まっていく。

 海外旅行の自由化は、国民の国際化への意識を高め、観光客の相互往来は経済に好影響を及ぼす。東アジア3カ国の観光交流がやっと本格化したことで、それぞれの経済波及効果と相互理解促進が進むことに期待したい。(L)