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2010/10/15

<鳳仙花>◆生物多様性―韓国の取り組み◆

 地球上に生命が誕生したのは約38億年前、進化と絶滅を繰り返し、現在、未知の生物を含めると約3000万種があるといわれる。

 しかし一方では、乱獲や環境破壊などで年間約4万種が絶滅の危機に瀕しているともいわれる。

 国連はこの危機に瀕した生物多様性を守ろうと、1992年に韓国など世界各国が参加して「生物多様性に関する条約」を締結した。

 それから18年、「人間と自然の共生」はどこまで進んだのか。同条約の第10回締約国会議(COP10)が名古屋で始まったが、自然破壊に歯止めをかけ、生物多様性を守る具体的行動を起こしてほしい。

 COP10には世界各国から政府代表団、環境運動家などが来日しているが、韓国も代表団を派遣している。

 韓国の環境保護の取り組みの一例を挙げると、カワウソの保護がある。日本では妖怪や河童のモデルといわれ、韓国ではカワウソと人間の娘が結婚して、その子どもの一人が清朝太祖ヌルハチになったとの伝承があるほど人間と馴染みのある生物だ。

 しかし、乱獲や自然破壊の影響で、日本カワウソはすでに絶滅したとみられ、韓国では絶滅を防ごうと、90年代後半から生息調査と保護に力を入れてきた。その努力が実って2000頭ほどが生息するまでになった。

 また南北分断地域の非武装地帯(DMZ)は、半世紀以上、人の出入りが制限されたため生態系が保全されてきたが、ここには絶滅危惧種を含み多様な生物が生息し、渡り鳥の飛来地にもなっている。

 韓国政府は非武装地帯を保護地域に指定する計画だが、やり方次第では、世界の手本になるかもしれない。

 地球的課題である生物多様性を守るため、すべきことは多い。次世代に美しい地球を残すため、韓国も先頭に立って、一層の取り組みを期待したい。(L)