サッカーJリーグ、サンフレッチェ広島のFW李忠成選手(24)が、来年1月開催のアジア杯の日本代表予備登録メンバーとして召集されることが濃厚となった。
在日サッカー選手の日本代表入りは、同選手がU―23代表に入った以外は例がなく、ぜひ勝ち取ってほしい。在日サッカーファンも大いに注目している。
李選手は東京出身の在日4世。JリーグのFC東京、柏レイソルでプレーし、持ち前のスピードと決定力で頭角を現した。反町康治・サッカー五輪代表監督(当時)に代表入りを打診され、迷った末、07年に日本国籍を取得してU―23の日本代表入りし、日本チームの北京五輪出場権獲得に貢献した。
当時、「日本で生まれ、サッカーを学んだ身として日本代表入りは夢だった。一方で民族の誇りを守るため本名で日本国籍を取得したいと考えた」と語った姿が印象に残っている。
在日4世の日本代表入りは大きな話題となり、北朝鮮代表入りを果たした同じJリーガーの鄭大世、安英学とともに、在日コリアンの存在を日本社会にアピールするきっかけとなった。また在日の若者にとって、国籍にとらわれず自らが目標とする道を進むことの意味を考えさせる契機ともなった。
李選手はその後、度重なるケガに悩まされ、北京五輪では実力を発揮することができなかった。柏レイソルからサンフレッチェ広島に移籍したが、ケガの回復が遅れて出場機会に恵まれなかった。
しかし、最近先発出場のチャンスを得ると5試合連続得点を記録、ザッケローニ日本代表新監督から、得点力の弱いフル代表を補う存在として召集される見込みとなった。
日本代表として活躍すれば将来のW杯出場も見えてくる。韓国や北の代表チームとの対戦が実現すれば、在日の存在を改めて知らしめる機会にもつながるだろう。(L)