光州(クァンジュ)市が、国際的な文化都市として一大飛躍を果たすべく挑戦を続けている。その文化事業の象徴が、7日に閉幕した光州ビエンナーレだ。66日間の会期中49万人が訪れたが、43%が光州市以外からの観覧客で、外国人は2万8000人になった。95年に第1回ビエンナーレが開催されて以来、着実に実績を積み重ねてきた。
今回のメーンテーマは、ノーベル文学賞候補にもあげられた韓国を代表する詩人、高銀さんの叙事詩「1万人の命」だった。
カンボジアのポルポト政権時、収容所で処刑された人びとの写真で埋め尽くされた部屋、またベトナム戦争で爆撃にさらされた子どもたちや、第2次世界大戦時のユダヤ人迫害の写真などを象徴的に展示し、「命」の意味を来館者に重く問いかけ、観覧客の注目を引いた。いまや世界の美術界から、アジア有数のビエンナーレと評価されるまでになっている。
韓半島南西部の光州市は、古代から伝統芸術の地として知られ、多くの芸術家を生み出してきた。しかし近年は発展が遅れ、また80年の光州民主化闘争で多くの犠牲者が出たことで、悲劇の都市とも呼ばれている。そのイメージを一新し、文化都市として再スタートしようという光州市民の願いが込められたのが、ビエンナーレ開催だった。そのため、大勢の市民ボランティアや企業が応援を続けてきた。韓国国内はもちろん、国際的に評価され、現在に至っているのも、そんな後押しがあったからこそであろう。
そしていま、光州市は新たな「光州文化都市事業」を推し進めている。来年9月の光州デザインビエンナーレ開催と、それにあわせて約22億ウォンの予算を投じて市の施設やバス乗り場、橋、公衆トイレに至るまで、市全体を現代的デザインで生まれ変わらせるという。
国際的文化都市をめざす光州市の取り組みに、注目していきたい。(L)