日本の女子ゴルフツアーで韓国人初の賞金女王が誕生した。今年から日本ツアーに参戦した安宣柱(アン・ソンジュ)である。日本人以外の女王誕生は、91年の涂阿玉(台湾)以来19年ぶりの快挙で、世界を席巻する韓国人ゴルファーが、日本でも真価を発揮した形となった。
安は今シーズン、3月の開幕戦で早々に優勝。7月に賞金ランク首位に立つと、そのまま最終戦を待たずに賞金女王となった。26戦で4勝、5位以内が14度という安定したプレーで圧倒的な強さだった。
猛練習と海外生活への適応力の高さが韓国人ゴルファーの強さとよくいわれるが、安も例外ではない。
飛距離には定評があったが、比較的苦手だったパットも、日本人ゴルファーから「こんなに練習する選手は見たことがない」と驚かれるほどの練習量で克服した。さらに、韓国人に多い攻めのゴルフに、日本の「チャンスを待つプレースタイル」も取り入れ、安定した成績を挙げるようになった。
また日本に早く溶け込もうと、アニメの「名探偵コナン」を見て日本語を学び、今では日常会話に不自由ないほどになった。日本食も納豆や梅干しを好んで食べるなど、日本の生活すべてに溶け込む努力を重ねた。
「ここまでの道を切り開いてくれた先輩たちに感謝したい。常に学ぶ気持ちで一年間戦った。笑顔も忘れないようにした」と安は語ったが、その謙虚な姿勢と向上心、努力が好成績につながったのだろう。
そんな安もこの3週間ほどは食事ものどを通らないほどのプレッシャーで、ストレス解消のために髪を赤く染めていた。それがファンからは「赤毛のアン」と呼ばれて親しまれ、新たなファンも獲得できたというから面白い。
23歳の現役女子大生とは思えないそのプロ根性、ハングリー精神に、見習うべき点は多い。(L)