今年を振り返ると、経済分野で最も多くのニュースを提供したのはFTAだったのではないか。
FTAとはいうまでもなく、フリー・トレード・アグリーメント(自由貿易協定)の英語の頭文字をとった略称で、関税や数量制限など貿易障壁を相互に撤廃することで利益を享受することを目的とした協定のことだ。モノだけでなく、サービスや投資なども含めたより広範囲な分野での取引の自由化を対象にするようになっている。韓国はこのFTAを世界で最も積極的に推進しており、それに関するニュースも多かった。「貿易韓国」を象徴するものだろう。
韓国がFTAを積極的に推進しているのは、経済成長にとって何より貿易が大事であり、貿易自由化が生きる道だと判断しているからだ。天然資源に乏しい韓国は、優れた製品をつくって輸出することで経済成長を遂げてきた。関税を撤廃すれば輸出を増やすチャンスが拡大し、韓国の競争力がある自動車や電子製品の輸出増大に直結する。
そのいい例が、最初のFTA発効国チリとの貿易拡大だ。FTA発効前年(03年)の15億8000万㌦から昨年には3・37倍の53億3000万㌦へと急増した。
米国のFTA追加交渉を受け入れたのも早期批准が韓国にとって得策だという判断がある。米国は世界最大の輸入国であり、日本もEU(欧州連合)も米国とはFTAを結んでいない。韓国が先んじるメリットは大きいからだ。
韓国は現在、世界45カ国との間でFTAを発効ないし協定締結、交渉中であり、米国、EU、ASEANを連結するFTAネットワークを構築した唯一の国となる。インドともFTAに準じたCEPA(包括的経済パートナー協定)が発効しており、来年には日本と交渉再開、中国とは交渉開始の見通しだ。貿易1兆㌦時代を迎え、世界の模範となる自由貿易を推進してほしい。(S)