京畿道・富川市と神奈川県川崎市が今年、交流20周年を迎える。両市とも映像と漫画をまちづくりに活用し、交流してきたのが特徴的だ。改めてその意味を考えてみたい。
富川市は、漫画やアニメーションの情報拠点として、富川漫画情報センターの開設や漫画サミット、富川国際ファンタスティック映画祭開催など、文化都市としての地位を築いてきた。川崎市は市民ミュージアムを中心に漫画と映像文化に力を入れ、9月には人気漫画家の藤子・F・不二雄ミュージアムを開館する。
両市は都市づくりの参考に意見交換を重ね、相互訪問する市民も増えて親近感を深めてきた。目的を特化した交流だったことが関係発展に結びついたといえる。また漫画と映像は韓日の主要文化産業でもあるが、その発展に両市が果たした功績も大きかった。
それらの成果をもとに、両市は現在、多面的な文化活動に取り組んでいる。川崎市はアジアの音楽交流にも積極的に取り組んでいる。一方、富川市は大型映画撮影所の富川ファンタスティック・スタジオを建設し、韓国内のみならず日本映画『ゼロの焦点』の撮影も招致するなど、大成功を収めている。来月には川崎市一行が富川市の漫画祭を訪れ、9月には富川市一行が、藤子・F・不二雄ミュージアムを視察し、映像と漫画交流をさらに深化させるというから楽しみだ。
この両市の交流のきっかけが、在日の存在だったことも知っておきたい。富川市の関係者が川崎市を訪問した際、桜本に在日が多く住み、多文化共生の運動に取り組む川崎市ふれあい館があるのを知ったことから市民交流がスタート。その成果を受けて96年に友好都市提携が結ばれ、06年には川崎市で友好都市提携10周年記念コンサートが開かれるまでになったという。
両市は、東アジアの平和へ向けた声も発信していく計画で、9月には川崎で平和シンポを開催する。両市の活動に今後も注目したい。(L)