人々の寿命が延び、先進国はどこも高齢化社会に向かっている。かつては人生50年といわれたが、現在は80年に延び、「人生100歳時代」が到来するのも遠い未来のことではなさそうだ。実際、英国の雇用年金省は、今後70年間に期待寿命は急激に延び、英国人口の17%程度は寿命が100歳以上になるだろうと予測した。6人に1人が100歳以上になるというのだ。昨年末に英ガーディアン紙などが報道し話題を呼んだ。そんなこともあってか、高齢化のスピードでは世界一の韓国で、新年から100歳時代に備えようという動きが起こっている。
韓国のメディアは、朝鮮日報が「100歳ショック」のタイトルで連載を開始し、韓国経済新聞も「幸福で健康な老後」をシリーズで特集するなど高い関心を示している。シンクタンクの現代経済研究所は、10年後には100歳以上の高齢者人口が急増する「ホモ・ハンドレッド」時代が到来すると報告。そうした中、李明博大統領は、「100歳時代に備えた総合対策」の検討を指示したという。
なにやら、高齢化問題が一気に100歳問題に発展しそうな流れだが、保健福祉部によると、韓国の全人口に占める65歳以上の高齢者の比率が2050年には37%を占め、日本やイタリアを抜き世界一の「老人の国」になるというショッキングな予測まで出ている。医薬界では現在、認知症を予防するワクチン開発が進められているというが、100歳もの高齢化社会には様々な対応が求められるだろう。生き方の問題もある。
米国の詩人ホイットマンは、「若さは落ち着いていてたくましく、愛を秘めていて、そして優雅で力強く、魅惑的だ。しかし、老いもまた、それに劣らないほど優雅で力強く、魅力を持っているということを知っているのだろうか」と詠ったことがあるが、「老い」の意味も変わっていかねばならないだろう。韓国は、高齢先進国の日本とも協力して、この未来の「100歳問題」に取り組んでほしい。何事も備えあれば憂いなしである。(S)