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2011/03/18

<鳳仙花>◆韓国も地震災害に備えを◆

 未曾有の東日本大震災は、原子力発電所の爆発事故も引き起こし、日本は戦後最大の試練に直面している。巨大地震、巨大津波、原発事故に見舞われながらも、パニックに陥らず、必死に悲しみに耐えている被災者の姿。その忍耐力と不屈の精神が国際社会に感銘を与えているが、なんとしても挫けずに苦難を乗り越えてほしい。

 今回の大惨事を目の前にして韓国では、「頑張ってください」と募金を寄せる長蛇の列ができ、「日本を助けたい」とボランティア志願する若者が相次いでいる。その一方で、韓国でも地震災害を心配する声が出ている。

 韓国は英国とともに地震が起こらない国といわれているが、実は近年は発生頻度が増えている。昨年は60回。過去10年間の年平均41回を上回る。昨年2月には首都圏各地で3秒ほど揺れが感じられるマグニチュード3の有感地震が発生した。これは1978年に地震観測が開始されてから初めてで、ソウル地域で体に感じる地震が観測されたのは04年9月以来のことだという。新羅時代には家屋が崩壊、100人以上が死亡したという記録もあり、耐震構造を見直すなど地震に無防備であってはならないだろう。

 特に今回の大震災では、原発の放射能漏れが起こり、メルトダウン(炉心溶融)が憂慮されている。韓国では計21基の原発を稼働しており、原発事故にも強い関心を寄せている。韓国の気象庁の専門家によると、韓国の原発はマグニチュード6・5の地震が直下で発生しても耐えられるように設計され、さらに冷却装置が停止しても対処可能なシステムを備えているというが、再点検が必要だろう。

 韓国政府は、韓国内にある原発や石油・ガス備蓄施設などの耐震能力を20日から一斉点検することを決めたが、徹底的に点検してほしい。備えあれば憂いなしである。原発は、地球温暖化対策のクリーンエネルギーとして再評価が進められた矢先のことである。今回の原発事故を世界が学ばなければならない教訓にすべきであろう。(S)