「私が幼い頃、韓国は貧しく氷上スポーツをする人はいなかった。平昌誘致が実現すればアジアの冬季スポーツ発展と平和に大きな意味をもたらす」。2014年冬季五輪誘致時のプレゼンテーション(07年)における故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の言葉だ。その時はソチ(ロシア)に惜しくも4票差で敗れ、03年に続く連敗で韓国民は悲嘆の涙を流した。
しかし、世界的にも例のない3度目の挑戦となる今回は期待が持てる。10日に行われた国際オリンピック委員会(IOC)の技術評価報告書でトップに立った。平昌は会場配置が「非常にコンパクトで移動が便利で、宿泊や交通網も問題無し」と高評価された。またIOCが昨年12月に実施した世論調査でも、3都市で最も高い92%の住民が平昌開催を支持している。この驚異的な支持率にIOC委員も驚いたという。
韓国戦争による祖国荒廃を乗り越え、88年にはソウル夏季五輪を開催して「漢江の奇跡」を世界に示したが、冬季スポーツについては、韓国映画『国家代表』で描かれたように、選手層が薄く、満足な競技施設も少ないのが実情だった。しかし、国を挙げての強化策と新世代選手の成長が結実し、韓国は昨年のバンクーバー冬季五輪で金メダル6個、総合5位。特に女子フィギュアスケートで金妍兒(キム・ヨナ)選手がパーフェクトな演技を披露して優勝するなど、韓国が冬季スポーツでも先進国になれることを世界中に示した。平昌誘致への追い風だ。
今回、平昌開催が実現すれば、アジア全体の冬季スポーツ発展に大きな力となるだろう。98年長野冬季五輪を成功させた日本でも、大勢の関係者が見守っている。
18日に最終プレゼンテーションがスイス・ローザンヌで行われ、金妍兒選手が誘致を訴えた。フィギュア女王の訴えはIOC委員にも響いただろう。開催都市は7月6日のIOC総会(南アフリカ・ダーバン)で決定する。三度目の正直を期待したい。(L)