ここから本文です

2011/07/22

<鳳仙花>◆貿易1兆㌦時代の課題◆

 韓国が今年貿易1兆㌦を突破するのが確実となった。上半期(1~6月)実績で5329億㌦(輸出2748億㌦、輸入2581億㌦)を記録しており、例年下半期(7~12月)の貿易額の方が大きいからだ。貿易拡大を通じて成長してきた韓国経済の一つの到達点といえる。だが、今後さらなる貿易拡大はそう簡単なことではない。新たな決意と取り組みが求められていると思う。

 世界で貿易1兆㌦を突破した国は米国、ドイツ、日本、中国、フランス、英国、オランダ、イタリアの8カ国しかない。それだけ大変な数字である。韓国戦争の廃墟から立ち上がり、わずか50余年で実現するのだから大変な努力が必要だった。最初は、タングステンや鉄鉱石のような鉱物資源や生糸、水産物しか輸出できるものがない典型的な第1次産業依存の貿易構造だった。その後、かつらや繊維製品など軽工業品を経て、半導体や船舶、自動車、携帯電話、薄型テレビを中心に輸出品を高度化。このような高付加価値製品を生産する産業の競争力を世界トップレベルに育成できたからこそ1兆㌦達成が可能になったのである。

 天然資源に乏しい韓国が選択した「貿易立国」に間違いはなかったが、いくつかの問題点が提起されている。

 まず、輸出メーカーが大企業に偏重している構造改善だ。今後、貿易2兆㌦に向かうには有望輸出中小企業を政策的に育成する必要があると指摘されている。次代を担う輸出商品の開発もそのような中小企業から生まれる可能性を秘めている。

 また、あまりにも高い貿易依存度にも目を向ける必要がある。GDPに占める貿易の比率は昨年、87・9%に達した。これは世界の環境変化の影響を受け易いということを意味するが、内需基盤が脆弱であることの反証でもある。このため政府も、内需産業の育成に乗り出しているが、本腰を入れてほしい。先進国の多くの所得水準は3万㌦を超えているが、韓国はまだ2万㌦であり、貿易とともに内需も成長させるバランスある政策が重要だろう。(S)