最近、スマートフォンだけでなく、スマートテレビ、スマートグリッド、さらにスマートシティという言葉がよく使われる。ここでいう「スマート」とは、「賢い、利口な」という意味だが、スマート時代の到来を予感させるものだ。実は韓国はいま、知識基盤社会を実現するため、「スマートコリア」建設に取り組んでいる。「IT韓国」の新たな挑戦として注目したい。
スマートコリア戦略の柱の一つに「スマートワーク」がある。これは、時間や場所にとらわれず、いつでも働けるような環境をつくることで、この制度を導入したオランダで20%も雇用率が上昇したと報告されている。また、出生率が上昇し、少子高齢化対策になるという評価もある。長時間通勤による無駄を省くことで生産性が高まり、二酸化炭素排出量の軽減にも役立つなど様々な効果が期待されているという。
学校教育ではデジタル教科書が使われ出した。教科書、辞書などの内容を盛り込んだペーパレス教科書で、スマートフォンなどの機器さえあれば、いつでも接続できる。3年後には全国の小中学校で導入が予定されており、教育現場も様変わりしそうだ。
ITを活用して電力の需給バランスを最適化するスマートグリッドは、最高の節電対策になるかも知れない。済州道での実証実験を手始めに2030年までに韓国全体をスマートグリッドで覆うという壮大な計画を見守りたい。
仁川・松島ではスマートシティ建設が進められている。電気や通信、交通、建物など生活インフラ全体を効率化し、再生可能エネルギーを使って環境負荷を抑える環境都市でもある。次世代都市のモデルづくりが始まったといえよう。
韓国は、自他共に認めるIT先進国。国連の「電子政府」評価では世界一だ。IT機器の普及率は世界トップクラスで、IT習熟度も極めて高い。だが、オンラインゲームなどに没頭する青少年のネット依存症は170万人を超えるとされ、社会問題にもなっている。ITに習熟した彼らをスマート時代に積極的に活用すべきだろう。有効な政策展開を望みたい。(S)