今年は韓日で、FTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)論議が世論を賑わした。韓国は、7月に発効したEU(欧州連合)に続き、物議を呼ぶ中、米国ともFTA実現にこぎつけた。日本はTPP交渉への参加を表明し、賛否の論議を巻き起こしている。また、韓日中FTAの推進で3カ国首脳が合意をみた。さらに、来年からは韓中FTA交渉開始の動きもある。足元の韓日FTAは交渉が中断したままだが、ここにも新たな動きが起こりそうだ。
韓日FTA交渉は2003年12月に始まったが、04年6月に中断。08年から09年に交渉再開のため、4回の実務協議が実施されたが、見るべき進展はなかった。その後、実務協議は局長級に格上げされたが、まだ具体的論議はなされていない。韓日経済に詳しい識者は「大変な時間的な空費だ。もし、FTAを実施していたら、様々な経験をし効果やデメリットを検証でき、新たな段階に突き進むことができたはずだ」と指摘した。
こうした中、最近ソウルで朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官と古川元久・国家戦略担当相が会談、韓日FTA交渉の早期再開に向けて、互いに努力することを確認するとともに、企画財政部と内閣府の閣僚級会議を定例化することで合意した。一つのシグナルとして注目したい。
両国の経済界はすでに、「人、物資、資本が自由に交流する一つの経済圏」の形成を求め、そのためにも韓日FTAの早期締結が必要だとしている(9月に開かれた韓日経済人会議の共同声明)。経済界は一歩先を見ているといっていい。政治家の集まりである韓日議員連盟も、先月の合同総会の共同声明で「韓日FTAが早期に締結できるよう努力し、双方の政府にこれを促していく」と謳っている。
折りしも、李明博大統領がシャトル外交で今月17、18日にも訪日するといわれている。本格的な貿易自由化時代を迎えて、アジアの機軸となるべき韓日は、新年からFTA交渉を再開し、早期に締結すべきではないか。(S)