韓国の貿易額が1000億㌦に達したのは、ソウル五輪が開催された1988年だったが、いまでは韓日貿易だけで1000億㌦を超えている。韓国貿易協会によると、昨年の対日輸出は前年比40・9%増の397億㌦、輸入は6・2%増の682億㌦で、合計1079億㌦に達した。貿易拡大とともに、懸案の対日赤字が前年より75億㌦少ない285億㌦に減少した。大きな変化である。これまでの「拡大不均衡」から「拡大均衡」へと韓日貿易は新たな時代を迎えているのだろうか。
韓国は昨年、貿易1兆㌦を達成した。その1割を占める韓日貿易のウエートは大きいが、いつも問題になるのが対日赤字だ。韓国は、世界各国へ輸出する製品に必要な部品・素材の対日依存が高いため、これまで輸出が増えると、対日赤字が拡大するパターンが繰り返されてきた。しかし、昨年は違った。輸出は増えても対日赤字は増えなかった。これは、日本企業が東日本大震災と円高で、韓国製品を大量に輸入したことが大きい。震災で打撃を受けたワカメや牡蠣なども韓国産の輸入増で代替された。従って、これは一時的現象だとの見方もある。
だが、それ以外の新たな動きもあることを見落としてはならない。韓国企業の対日進出が活発になっていることだ。例えば、家電製品。これまで韓国電子メーカーにとって、日本は極めて厳しい市場で、過去進出に失敗した苦い経験もある。だが、LG電子は昨年、日本で3D(立体)テレビを発売し、シェアを2%まで伸ばした。サムスン電子も来年からスマートテレビを投入する方針だ。自動車部品専門メーカーの万都は、初めて日産自動車と410億ウォン相当のサスペンション供給契約を結んだ。このような動きが各分野で広がれば、対日赤字縮小に貢献することは間違いない。
韓国は貿易2兆㌦時代に向けて、産業構造の高度化や中小輸出企業の育成に取り組んでいるが、韓日貿易の拡大も大事だ。そのため韓日FTA(自由貿易協定)も早期に実現すべきだろう。(S)