演劇を通して韓国、日本、在日間の文化交流を活性化させ、相互理解を深めようという企画「第2回日韓演劇フェスティバル」が盛況だ。東京、大阪・福岡で開催中で、これまで延べ数千人が観劇している。今回は、在日の歴史に真正面から取り組んだ作品が多いのが注目される。
東京・福岡ですでに上演され、あす大阪で上演される『異郷の涙』は、人気レスラー力道山が在日であり、それを隠し通していた史実を通して、戦後日本社会の在日への差別を見つめた創作劇だ。
日本のスーパースター力道山が、韓国人とばれないようにキムチを隠れて食べていたこと、韓国人を公言していた大木金太郎(金一)に複雑な感情を抱いていたことなどがユーモアを交えて描かれ、そこから逆に民族差別の恐ろしさが伝わってきた。
芝居を観たある日本の教育関係者は、「本名を出す事を恐れる在日の生徒がいまもいる。差別の歴史がまだ終わっていないことが残念だ。日本社会を少しでも変えたい」と語っていたが、多くの観客に共有してもらえたら幸いだ。
大阪ではまた在日3世が主宰する劇団Mayが、在日青年を主人公にした『チャンソ』(場所の意)と『風の市』を17日から上演する。
多くの在日青年が直面するアイデンティティー探しを描く中で、未来に向けた在日の生き方を示したいという。ぜひ、在日青年の等身大の姿が伝わる舞台にしてほしい。
韓日の演劇交流は個人・個別劇団レベルでは半世紀以上続いており、韓日の演出者協会同士の交流が始まってからも20年になる。それら交流の積み重ねがあったこと、また本名を名乗って自らの歴史を描く在日若手演劇人が、この間何人も登場してきたことが、今回の在日に力点を置いたフェスティバル開催につながっている。
韓・日・在日の演劇人が協力して、より良き未来への一助となる作品を今後も作り出してほしい。(L)