国際社会に大きな衝撃を与えた昨年3月の福島第1原発事故から、1年が過ぎた。いまも大勢の人々が放射性物質の恐怖にさらされ、避難生活を余儀なくされている。
その福島の人々と連帯して核の問題を共に考えようという動きが、「韓国のヒロシマ」と呼ばれる慶尚南道陜川に暮らす在韓被爆者と支援団体から出てきた。これまでなかった被爆者による新たな韓日連帯の動きであり、注目したい。
在韓被爆者は日本による植民地時代、広島や長崎に徴用されて軍需工場などで働き、被爆した人たちだ。
解放後は祖国に戻ったものの、被爆の後遺症に悩まされて満足に働けず、日本政府の補償も受けられなかった。いまも裁判闘争などが行われている。
大韓赤十字社に登録している在韓被爆者数は2月末現在で2671人。そのうち20%ほどの463人が陜川郡に住んでいる。
在韓被爆者の多くは80歳代の高齢だが、「被爆の恐ろしさを身をもって知っているからこそ、放射能の恐怖にさらされる福島の人たちのことは、ひとごとと思えない」と陜川でも被災者への義援金を集めたという。
貧しい生活で、日本への複雑な思いを持ちつつも、福島の人たちを助けたいと思った、その心根の美しさに驚く。
在韓被爆者と支援団体などは、福島への思いを継続すべく、きょう23日と24日、被爆者支援団体「陜川平和の家」の主催で、「陜川非核平和大会」を開催する。
広島、長崎の被爆者、避難した福島の住民、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による内部被曝者、それに広島や長崎で被爆者治療に携わる医師らも集い、被爆体験と放射線障害の継続的治療について話すという。
在韓被爆者らの支援の思いが、少しでも福島の人たちを勇気付けることにつながってほしい。(L)