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2012/05/18

<鳳仙花>◆南海岸時代切り開く麗水世界博◆

 麗水世界博覧会が開幕した。海洋と沿岸をテーマにした本格的な海洋博だ。海と人間の共存を前提に、科学技術を融合した新海洋時代のビジョンを提示することで、人類の新しい未来を切り開こうとの願いを込めている。麗水世界博の意義を考えてみた。

 万博、エキスポとも呼称するが、1851年のロンドン国際博を嚆矢に150年以上の歴史がある。その歴史を振り返ると、万博は国威発揚と人類発展のためのイベントであり、人類が築き上げてきたその時代の技術・文化芸術の頂点を世界に向けて発信する大きな機会でもあった。エッフェル塔もテレビも自動車も万博から生まれた。

 麗水世界博も、海洋技術とともに、未来の低炭素のモデル都市を提示している。海の上に広がる2050年の未来都市をイメージし、海上に建てられたテーマ館や大気中の二酸化炭素濃度が上昇しないカーボンニュートラルの未来型建築の韓国館はその象徴だ。麗水新港のコンクリート護岸の一部を植物などが繁茂する生態公園に造りあげ、風力、潮力、潮流を利用した再生可能エネルギーの先端技術を体験できる空間もある。

 その時代の経済・社会・文化を映す鏡としての万博の機能を果たそうというものだ。

 万博はまた、開催地の都市づくり、地域開発の起爆剤にもなった。交通インフラなど社会資本の整備、地域の経済・企業の活性化、最先端技術の集積などが図られ、多くの人々に新たに整備された都市をみせることで開催地のイメージアップや地域開発に大きな効果を発揮した。

 麗水市は、韓国の南端に位置する人口わずか30万人の港町で、風光明媚な素晴らしい自然に恵まれている。この自然と海洋という地域の特性を生かし、南海岸時代を切り開く地域発展の大きなチャンスを麗水世界博は提供している。93年の大田世界博の成功で、大田・大徳地域が科学技術のメッカになったように。

 海洋にまつわる意匠を凝らした様々な展示と数多くの文化芸術イベントが組まれ、見どころ満載である。麗水世界博を見に行こう。(S)